プレスリリース

平成20年度携帯電話・PHS におけるリサイクルの取り組み状況について

2009年7月21日

社団法人電気通信事業者協会

社団法人電気通信事業者協会(TCA)と情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」として携帯電話・PHS における資源の有効利用について取り組んでいます。

TCA では携帯電話・PHS 事業者等の協力を得て、平成13 年4月からMRNを立ち上げ、サービス提供事業者、製造メーカーに関係なく、使用済みの携帯電話・PHS の本体、電池、充電器を全国約8,500店舗ある専売店を中心に、自主的に回収する活動を推進しています。

また、リデュース(抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)については、CIAJ が「携帯電話・PHS の製品環境アセスメントガイドライン」を制定し、製造メーカーにおける指針として製品アセスメントを実施する等の対応を進めています。

今般、平成20 年度のリサイクルの実績に関するとりまとめが完了しましたので、お知らせします。

1. 平成20 年度リサイクル実績と再資源化状況について

(1)リサイクル実績について

  平成20年度 平成19年度 平成18年度 平成17年度
  回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
回収台数
(千台)
回収重量
(t)
本体 6,174 533 6,443 544 6,622 558 7,444 622
電池 8,388 167 7,198 145 6,133 125 6,575 132
充電器 4,776 355 3,706 250 3,475 234 3,587 259

注)充電器とはACアダプタ・卓上ホルダを示す。

各社、回収に努めましたが、平成20 年度の本体の回収台数は、前年度実績から269 千台減少(▲4.2%)し、平成12 年度の13,615 千台をピークに減少傾向が続いています。携帯電話・PHSの端末出荷台数が平成19年度の5167万台から平成20年度は3585万台に減少(▲30.6% 出所:社団法人電子情報技術産業協会)したことが大きな原因と考えられます。また、端末の多機能報道発表化、高機能化が進展し、通話端末として使わなくなった端末を別の用途で手元に保管し続ける利用者が増えたことなども原因と考えられます。

一方、電池や充電器等の回収台数は増えております。電池につきましては、一部キャリアで会員向けに実施している電池交換サービスなどにより増えたものと思われます。

(2)再資源化状況について

端末に含まれる金属は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、銅などですが、金、銀、銅などの金属は素材に戻し、再利用をしています。精錬の過程で発生するスラグは路盤材、湾岸施設(テトラポット中込材)などに利用されています。

また、金属以外の素材(プラスチック、ガラスなど)についてもリサイクル処理を実施しています。プラスチックは低温溶解により樹脂材となり、ハンガー等の日用品、プラスチック収納容器、玩具の筐体等に利用されています。

なお、平成18 年度よりマテリアルリサイクル率をリサイクル目標の指標として定め、携帯電話本体の60%以上、電池の30%以上を目標値として設定し活動してきたところですが、平成20 年度においては、どちらも目標達成いたしました。

(3)利用者の意識・行動に関するアンケート調査結果について

リサイクルに関する実態を調べるため、携帯電話・PHS 利用者約2000 人に対するアンケート調査を実施しました(添付資料1参照)。
※ 昨年度までの調査とはサンプルの取り方や一部質問の仕方等が異なっており、過去の調査結果データとの単純な比較はできないことをご承知おき願います。

  1. 過去1年間に買換・解約等により端末を処分したことがある人の割合は全体の16.0%にとどまっています。
    (参考)19 年度調査では29.6%。
    処分したことのない人の中には、買換・解約の際に端末をお手元に残された人、買換・解約等の機会そのものがなかった人の両方が含まれます。
  2. 端末が不要となった際に「ゴミとして捨てた」人は、12.4%、「ショップに引き取ってもらった」人の割合は66.4%でした。また、「中古品として売却した」とする回答は3.9%でした。
    (参考)19 年度調査では、「ゴミとして捨てた」人は15.0%、「ショップに引き取ってもらった」人は66.9%、「中古品として売却した」人は3.0%。
  3. 通信機器として利用している以外に保有している端末がある人は52.6%です。
    (参考)19 年度調査では28.0%。
    また、そのうち、保有している端末を何らかの目的で使用している人は40.1%でした。※昨年度までなかった質問。
  4. 通信機器として利用している以外に端末を保有している人について、使用している人の利用目的(複数回答)を見ると、写真やメールが残る端末を「コレクション・思い出として残す」(17.0%)が最も多く、端末への愛着の強さが伺えます。また、端末の多機能化、高性能化により「時計(アラーム等)」(12.4%)、「電話帳(住所録)」(6.8%)「デジカメ」(4.9%)「データのバックアップ用」(4.3%)「音楽プレイヤー」(2.9%)「ゲーム機」(2.7%)「テレビ」(2.0%)など、様々な用途で利用されております。IC カード(SIM カードまたはUIMカード)の入れ替えによる予備機として活用する人(6.1%)、カメラなど「子どもの遊び道具」として保有している人(6.3%)も多数見られます。
    一方、利用せずに保有している理由(複数回答)としては、「個人情報が漏れるのが心配」とする回答が25.6%と多く見られます。「どのように処分したらいいかわからないから」も13.4%おり、リサイクルの周知の更なる促進が必要と考えられます。また、「何となく」という回答が32.0%あり、必ずしも積極的な理由で保有しているばかりでない実態も伺えます。
  5. 通信以外に何の目的でも使用せずに保有している端末を、今後「処分したい」と回答した人は43.2%おり、潜在的な回収の可能性を示しています。
    ※昨年度までなかった質問。
  6. MRNによるリサイクルに関する認知度は、69.4%となり、認知度向上に向けた施策の成果が徐々に現れてきております。
    (参考)19 年度調査では53.8 %。

2. 今後の自主的な数値目標

MRNによるリサイクル活動を推進するため、以下の数値目標を設けます。

(1)リサイクル活動の認知度向上

MRNによるリサイクル活動の認知度を70%とし、引き続き向上に努めます。

(2)マテリアルリサイクル率の向上

MRNとしての(端末本体の)マテリアルリサイクル率(回収した端末から採取できる金属等のリサイクル効率)を70%とし、引き続き向上に努めます。

(3)事業者全体の回収率の目標設定

事業者全体での回収率※の自主目標を、当面30%と定め、この結果を回収台数、回収重量とともに、公表します。
※ 回収率 = 「事業者全体の専売店等での回収台数」÷(「専売店等での機種変更」+「任意解約数」)

3.リサイクル向上に向けた今後の対応について

(1)認知度の向上等に向けた施策展開

MRNによるリサイクルに対する認知度を更に高めるため、カタログ・取扱説明書などにおける周知、媒体広告などに引き続き力を入れていきます。また、ゴミとして処分する人を更に減らすため、ゴミの収集を行政する自治体の周知協力が得られるよう引き続き働きかけを行なっていきます。そして、回収を促進するため、買換・解約時のショップ店頭での案内を強化してまいります。

(2)回収可能性を高める対策

  1. 端末内に保存・蓄積した情報やデータ(写真、メール記録など)に愛着を感じているという回答に対する対策として、保存・蓄積したデータのバックアップや新端末への引継ぎを可能とする措置を強化し、回収可能性を高めていきます。
  2. 端末内に残る個人情報を確実に消去する方法・手段を利用者に対して分かりやすく説明・啓発すると共に、専売ショップにおけるサポート(端末破砕など)を強化し、個人情報の漏洩を心配する声に対して、安心して専売ショップに使用済み端末を預けていただけるようアピールしていきます。
  3. 端末の多機能化、高機能化の進展により、他社端末を回収する場合に生じる課題(保存データの移管や電子マネーの精算確認など)に対してどのように対応するか検討を進めています。

(3)3Rに対する取組み

  1. 「携帯電話・PHS の製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に配慮した製品設計等を一層推進します(添付資料2)。
  2. マテリアルリサイクル率の向上を図るとともに、部品をリユースする可能性についても検討を進めていきます。

(4)平成21 年度における各社の取組み

リサイクル向上に向けた平成21 年度における各社の主な取組みは添付資料3のとおりです。

「モバイル・リサイクル・ネットワーク」への参加企業について

添付資料4のとおり。

モバイル・リサイクル・ネットワークロゴマーク

【本件に関する問合せ先】

・社団法人電気通信事業者協会(TCA)
業務部 荒木 浩一 TEL:03-3502-0991
URL:http://www.tca.or.jp

・情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
サービス部 八木 敏晴 TEL:03-5403-9358
URL:http://www.ciaj.or.jp

別添資料2
平成20年度 携帯電話・PHSにおける製品環境アセスメント評価の結果報告について

平成20年7月21日
情報通信ネットワーク産業協会
移動通信委員会

情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、社団法人 電気通信事業者協会(TCA)と共同で、携帯電話・PHSにかかる資源の有効利用について取り組んでおり、移動通信委員会では、リユース(再使用)、リデュース(削減)およびリサイクル(再生)について、「携帯電話・PHSの製品アセスメントガイドライン」を制定し、メーカーにおける指針としています。

今般、会員各社の協力を得て、平成20年度の製品環境アセスメントを実施しましたので、その結果を公表します。

1. アセスメントの概要

  • 実施期間   平成21年2~3月
  • 参加会社   12社
    (株)アスモ、カシオ計算機(株)、京セラ(株)、シャープ(株)、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)、(株)東芝、日本電気(株)、日本無線(株)、(株)ネットインデックス、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(株)、(株)日立製作所、富士通(株)
  • 対象機器   調査時点の各社の携帯電話・PHS端末、データ通信カード
  • 実施方法
    CIAJ移動通信委員会制定の「携帯電話・PHS端末の製品環境アセスメントガイドライン(第2版)の全評価項目を調査票により調査、集計。

2. 集計結果の概要

参加会社は平成19年度の15社から12社と減少である。対象機器は携帯電話・PHS・データ通信カードで、各社とも3Rを積極的に推進していることがうかがえる。

機能増加やデザイン性の要求度がいっそう高くなるなか、アセスメントガイドラインを考慮した設計を継続推進することが求められている。

  1. リデュースの評価
    液晶の大型化やワンセグ搭載など高機能化と共に、薄型化も進んでいて、各社とも省資源化(小型化・軽量化)や省電力化に取り組んでいる。今年も薄型化がトレンドである。端末の質量、消費電力は横ばいながら、機能当りでは削減が進んでいる。また、重金属、化学物質の管理および削減が進んでいる。
  2. リユースの評価
    各社とも、製品および付属品の共有化設計、修理可能な分離分解しやすい設計に取り組んでいる。また、納入先仕様にあわせた共通ACアダプタへの対応に取り組んでいる。
    取付ねじなどを統一し、種類と数の削減が進んでいる。
  3. リサイクルの評価
    各社とも、筐体に貼付するシール類の削減や、金属とプラスチックなどの複合材の削減など、リサイクルを阻害する要因を積極的に排除し、材料や部品の質量、種類把握に努め、環境影響が小さな材料、部品の選択を進めている。更に再資源化原料として利用が可能な材料部品にするための解体、分解が容易な構造の採用を推進している。

3. 今後の予定

携帯電話・PHS・データ通信カードは、多様な機能を取り込みながらも、小型・薄型化、デザイン性重視の傾向は続くものと思われる。一方、3Rに対する世の中の関心は一層高くなってきている。この相反する双方の要求を満足させるべく、引き続き製品環境アセスメントの内容を考慮した製品設計への取り組みが必要である。

今回の集計結果も踏まえ「製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、参加各社の携帯電話・PHSおよびデータ通信カードなどのより一層の3R取り組みに向け活動を推進していく。

本件に関するお問い合わせ先

情報通信ネットワーク産業協会
サービス部長
八木 敏晴
TEL: 03-5403-9358

以 上

別添資料3
リサイクル向上に向けた各社の主な取組み(平成21年度)

<ショップにおける活動>

  • 端末破砕器具での個人情報漏えい防止措置
  • 端末に保存・蓄積されたデータの移行措置
  • 端末に保存・蓄積されたデータのバックアップ措置(CD-ROMなどの外部メモリへのバックアップ)
  • ショップ店員によるお客様への回収協力の直接的な働きかけ
  • ポスター等の掲示物によるお客様への周知

<PR活動>

  • 新聞、雑誌、ラジオなどの媒体広告
  • カタログ、請求書同封物などへの掲載
  • イベント会場における回収活動

<その他>

  • 充電器(ACアダプター部)の共用化による不要充電器の発生抑制
  • リサイクルを通じた収益金の環境保護団体への寄付
  • 自治体等における周知協力の要請

(注)上記項目は、各社の主な取組み内容を網羅したものであり、各社毎に実施状況・内容は異なります。

別添資料4
モバイル・リサイクル・ネットワーク参加各社(2009年4月1日現在)

通信事業者
株式会社NTTドコモ
KDDI株式会社、沖縄セルラー電話株式会社
ソフトバンクモバイル株式会社
イー・モバイル株式会社
株式会社ウィルコム、株式会社ウィルコム沖縄
販売会社
株式会社ビックカメラ
製造メーカー
NECインフロンティア株式会社
カシオ計算機株式会社
京セラ株式会社
シャープ株式会社
セイコーインスツル株式会社
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社
株式会社東芝
日本電気株式会社
日本無線株式会社
パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
株式会社日立製作所
富士通株式会社
株式会社ネットインデックス
株式会社アスモ
リプロ電子株式会社
SMK株式会社

以 上

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