プレスリリース
平成19年度携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について
2008年6月24日
社団法人電気通信事業者協会
情報通信ネットワーク産業協会
社団法人電気通信事業者協会(TCA)と情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、携帯電話・PHSにおける資源の有効利用について取り組んでいます。
TCAと携帯電話・PHS事業者は、平成13年4月から開始した「モバイル・リサイクル・ネットワーク」により、サービス提供事業者、製造メーカーに関係なく、使用済みの携帯電話・PHSの本体、電池、充電器を全国約10,400店(平成20年3月末現在)の専売ショップ等において、自主的に回収を行っています。
また、リデュース(抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)については、CIAJが「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を制定し、製造メーカーにおける指針として製品アセスメントを実施する等の対応を進めています。
今般、平成19年度のリサイクルの実績に関するとりまとめが完了しましたので、お知らせします。
1.平成19年度リサイクル実績と再資源化状況について
(1)リサイクル実績について
平成19年度 | 平成18年度 | 平成17年度 | 平成16年度 | |||||
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回収台数 (千台) |
回収重量 (t) |
回収台数 (千台) |
回収重量 (t) |
回収台数 (千台) |
回収重量 (t) |
回収台数 (千台) |
回収重量 (t) |
|
本体 | 6,443 | 544 | 6,622 | 558 | 7,444 | 622 | 8,528 | 677 |
電池 | 7,198 | 145 | 6,133 | 125 | 6,575 | 132 | 7,312 | 159 |
充電器 | 3,706 | 250 | 3,475 | 234 | 3,587 | 259 | 3,181 | 228 |
注)充電器とはACアダプタ・卓上ホルダを示す。
平成19年度の携帯電話・PHS本体の回収台数は、前年度実績から179千台減少し、平成12年度の13,615千台をピークに減少傾向が続いています。携帯電話・PHSにおいて電子メールやウェブサイトの利用が可能となったのが平成11年であり、平成13年には第3世代携帯が登場しデジカメ機能が具備されるなど、端末の高機能化、多機能化が進展し、電話として使わなくなった携帯電話・PHSを手元に保管し続ける利用者が増えたことが原因と考えられ、こうした動きに合せて回収数の減少が生じています。
一方、電池の回収台数が増えております。電池につきましては、一部キャリアで会員向けに実施している電池交換サービスなどにより増えたものと思われます。
(2)再資源化状況について
携帯電話・PHSに含まれる金属は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、銅などですが、金、銀、銅などの稀少金属は素材に戻し、再利用をしています。精錬の過程で発生するスラグは路盤材、湾岸施設(テトラポット中込材)などに利用されています。
また、金属以外の素材(プラスチック、ガラスなど)についてもリサイクル処理を実施しています。プラスチックは低温溶解により樹脂材となり、ハンガー等の日用品、プラスチック収納容器、玩具の筐体等に利用されています。
なお、平成18年度より、リサイクル目標の指標をマテリアルリサイクル率とし、目標値を携帯電話本体の60%以上、電池30%以上と設定して活動し、平成19年度においては、どちらも目標達成しております。また、廃棄処理は行っていません。
(3)利用者の意識・行動に関するアンケート調査結果について
リサイクルに関する実態を調べるため、携帯電話・PHS利用者2000人に対するアンケート調査を昨年に引き続き実施しました(添付資料1参照)。
- 上記(1)のとおり回収数は減少していますが、これは買換・解約時に端末を処分せず手元に置いておく傾向が強まっているためです。本アンケートにおいても、過去1年間に買換・解約等により端末を処分した人の割合は29.6%で、昨年度より3.2%減少しています。
これは、処分せずに保有し続ける人が増えていることを示してしています。
また、過去1年間に処分した端末の平均使用期間は2年10ヵ月で、前年度の2年8ヵ月からは若干伸びている状況です。 - 端末を手元に置いておく理由(複数回答)としては、前年度の調査とほぼ同様な傾向で、写真やメールが残る端末を「コレクション・思い出として残す」(59%)が最も多く、若者を中心とした携帯・PHS端末への愛着の強さが伺えます。また、端末の多機能化、高性能化により「電話帳として利用」(22%)「データのバックアップ用」(11%)「デジカメ」(12%)「ゲーム機」(6%)「目覚まし時計」(23%)などの用途で利用している人も半数を超える結果となっています。ICカード(SIMカードまたはUIMカード)の入れ替えによる複数端末利用の影響も少しずつ現われています。また、端末デザインの洗練化も端末への愛着を高める傾向にあります。その他には、個人情報保護への意識の高まりを反映して「個人情報が漏れるのが心配」とする回答も 25%と昨年同様多く見られます。また、「何となく」という回答が63%あり、必ずしも積極的な理由で保有しているばかりでない実態も伺えます。
- 端末が不要となった際に「ゴミとして捨てた」人は、昨年同様で14%の横ばい傾向、「ショップに引き取ってもらった」人の割合が67%に留まっており、業界としては、リサイクル活動の更なる普及啓発を推進していきます。また、今年度から新たに調査した結果、「中古品として売却した」とする回答が 3.3%あり、今後の推移を見守っていきます。
- また、携帯電話・PHSのリサイクルに関する認知度も、まだ54%に留まっており、認知度向上に向けた施策を引き続き推進する必要があります。
2.リサイクル向上に向けた今後の対応について
(1)認知度の向上に向けた施策展開
携帯電話・PHSのリサイクルに対する認知度がまだ十分でないため、買換・解約時にショップ店頭での案内を強化すると共に、カタログ・取扱説明書などにおける周知、媒体広告などに引き続き力を入れていきます。また、ゴミとして処分する人を更に減らすため、ゴミの収集を行政する自治体の周知協力が得られるよう引き続き働きかけを行なっていきます。
(2)回収可能性を高める対策
- 端末内に保存・蓄積した情報やデータ(写真、メール記録など)に愛着を感じているという回答に対する対策として、保存・蓄積したデータのバックアップや新端末への引継ぎを可能とする措置を強化し、回収可能性を高めていきます。
- 端末内に残る個人情報を確実に消去する方法・手段を利用者に対して分かりやすく説明・啓発すると共に、専売ショップにおけるサポート(端末破砕など)を強化し、個人情報の漏洩を心配する声に対して、安心して専売ショップに不要端末を預けていただけるようアピールしていきます。
- 端末の多機能化、高機能化の進展により、他社端末を回収する場合に生じる課題(保存データの移管や電子マネーの精算確認など)に対してどのように対応するか検討を進めています。
(3)3Rに対する取組み
- 「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に配慮した製品設計等を一層推進します(添付資料2)。
- 携帯電話・PHS業界として平成18年度より、リサイクル目標の指標をマテリアルリサイクル率とし、目標値を携帯電話本体の60%以上、電池30%以上を維持すると共に、部品をリユースする可能性についても検討を進めていきます。
(4)平成20年度における各社の取組み
リサイクル向上に向けた平成20年度における各社の主な取組みは添付資料3のとおりです。
3.モバイル・リサイクル・ネットワーク」への参加企業について
添付資料4のとおり。
【本件に関する問合せ先】
・社団法人電気通信事業者協会(TCA)
業務部 堀田 武彦 TEL:03-3502-0991
URL:http://www.tca.or.jp
・情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
サービス部 八木 敏晴 TEL:03-5403-9358
URL:http://www.ciaj.or.jp
別添資料2
平成19年度 携帯電話・PHSにおける製品環境アセスメント評価の結果報告について
平成20年6月24日
情報通信ネットワーク産業協会
移動通信委員会
情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、社団法人電気通信事業者協会(TCA)と共同で、携帯電話・PHSにかかる資源の有効利用について取り組んでおり、移動通信委員会では、リユース(再使用)、リデュース(削減)およびリサイクル(再生)について、「携帯電話・PHSの製品アセスメントガイドライン」を制定し、メーカーにおける指針としています。
今般、会員各社の協力を得て、平成19年度の製品環境アセスメントを実施しましたので、その結果を公表します。
1. アセスメントの概要
- 実施期間 平成20年2~3月
- 参加会社 15社
- NEC インフロンティア(株)、カシオ計算機(株)、京セラ(株)、三洋電機(株)、シャープ(株)、セイコーインスツル(株)、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)、(株)東芝、日本電気(株)、日本無線(株)、(株)ネットインデックス、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(株)、(株)日立製作所、富士通(株)、三菱電機(株)
- 対象機器 調査時点の各社の携帯電話・PHS端末、データ通信カード
- 実施方法 CIAJ移動通信委員会制定の「携帯電話・PHS端末の製品環境アセスメントガイドライン(第2版)の全評価項目を調査票により調査、集計。
2. 集計結果の概要
参加会社は平成18年度の15社と同一である。対象機器は携帯電話・PHS・データ通信カードで、各社とも3Rを積極的に推進していることがうかがえる。
機能増加やデザイン性の要求度がいっそう高くなるなか、アセスメントガイドラインを考慮した設計を継続推進することが求められている。
- リデュースの評価
液晶の大型化やワンセグ搭載など高機能化と共に、薄型化も進んでいて、各社とも省資源化(小型化・軽量化)や省電力化に取り組んでいる。また、重金属、化学物質の管理および削減に注力している。 - リユースの評価
各社とも、製品および付属品の共有化設計、修理可能な分離分解しやすい設計に取り組んでいる。また、納入先仕様にあわせた共通ACアダプタへの対応に取り組んでいる。 - リサイクルの評価
各社とも、筐体に貼付するシール類の削減や、金属とプラスチックなどの複合材の削減など、リサイクルを阻害する要因を積極的に排除し、環境影響が小さくなる材料や部品の選択を進めている。更に再資源化原料として利用が可能な材料部品にするための解体、分解が容易な構造の採用を推進している。
3. 今後の予定
携帯電話・PHS・データ通信カードは、多様な機能を取り込みながらも、小型・薄型化、デザイン性重視の傾向は続くものと思われる。一方、3Rに対する世の中の関心は一層高くなってきている。この相反する双方の要求を満足させるべく、引き続き製品環境アセスメントの内容を考慮した製品設計への取り組みが必要である。
今回の集計結果も踏まえ「製品環境アセスメントガイドライン」を更に充実させ、参加各社の携帯電話・PHSおよびデータ通信カードなどのより一層の3R取り組みに向け活動を推進していく。
本件に関するお問い合わせ先
情報通信ネットワーク産業協会
サービス部長
八木 敏晴
TEL: 03-5403-9358
以 上
別添資料3
リサイクル向上に向けた事業者の主な取組み(平成20年度)
<ショップにおける活動>
- 端末破砕器具での個人情報漏えい防止措置
- 端末に保存・蓄積されたデータの移行措置
- 端末に保存・蓄積されたデータのバックアップ措置(CD-ROMなどの外部メモリへのバックアップ)
- ショップ店員によるお客様への回収協力の直接的な働きかけ
- 端末をショップに持参しリサイクル回収に協力していただいたお客さまへのプレゼントキャンペーン実施
- ポスター等の掲示物によるお客様への周知
<PR活動>
- 新聞、雑誌、ラジオなどの媒体広告
- カタログ、請求書同封物などへの掲載
- イベント会場における回収活動
<その他>
- 充電器(ACアダプター部)の共用化による不要充電器の発生抑制
- リサイクルを通じた収益金の環境保護団体への寄付
- 自治体等における周知協力の要請
- 量販店、コンビニ等への回収BOX導入
(注)上記項目は、各事業者の主な取組み内容を網羅したものであり、事業者毎に実施状況・内容は異なります。
別添資料4
モバイル・リサイクル・ネットワーク参加各社 (2008年4月1日現在)
- 通信事業者【(社)電気通信事業者協会】
- NTTドコモグループ9社
- KDDI株式会社、沖縄セルラー電話株式会社
- ソフトバンクモバイル株式会社
- イー・モバイル株式会社
- 株式会社ウィルコム、株式会社ウィルコム沖縄
- 製造メーカー【情報通信ネットワーク産業協会】
- NECインフロンティア株式会社
- カシオ計算機株式会社
- 京セラ株式会社
- 三洋電機株式会社
- シャープ株式会社
- セイコーインスツルメンツ株式会社
- ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社
- 株式会社東芝
- 日本電気株式会社
- 日本無線株式会社
- パナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社
- 株式会社日立製作所
- 富士通株式会社
- 三菱電機株式会社
- モトローラ株式会社
- 株式会社ネットインデックス
- 株式会社ケーイーエス
以 上
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